探偵や興信所に寄せられる苦情相談件数等について

組合からの約束

探偵への苦情について

東京調査業協同組合アドバイザリーパートナーの東京調査サービスです。

今回は消費者センター等に寄せられた探偵・興信所の苦情件数やその理由について纏めてみたいと思います。
私が探偵・興信所業界に入った時から様々な苦情があったことは業界団体などから見聞きして知っておりましたが、その頃の苦情と言えば、料金を支払ったのに、全く調査を行っていなかったとか、調査をキャンセルしたが多額のキャンセル料を取られたとか、今では考えられないような酷いものもありました。

東京調査業協同組合では過去に「探偵社への苦情相談110番」というページもあり、その頃は全国からの苦情相談がありました。その中でも最も酷いものは、調査をキャンセルしたところ、依頼人の勤務先や自宅に押しかけたり、電話をかける等してキャンセル料を要求するというものでした。地方の業者で遠方であったこと、話の内容からかなりの悪質性が窺えた事から所轄の警察署の生活安全課に相談するようにお願い致しました。こういった悪質なものがあり業界全体で啓蒙活動を行った結果、苦情相談は減少していったのですが、昨今のインターネットの普及によって、新たな苦情相談が増えてきたことがあります。

事例

パソコンでアダルトサイトを閲覧したら会員登録になり、退会希望をタップすると電話がつながった。「お金を振り込まないと被害届を出す」と言われ、怖くなり、ネットで調べた消費生活センターに依頼したつもりが、有料の探偵事業者だった。解約したい。
スマートフォンの画面に無料アダルトサイトの請求画面が張り付いた。消費生活相談窓口を検索して見つけた興信所に相談した。解決費用が5万円と言われた。ここに相談して、解決できるだろうか。


と、このようにインターネット絡みのトラブルで何故か探偵に依頼するといった、ある意味消費者の誤解から生まれた相談も多くなって来ているようです。
消費者の誤解というのは、上記の例は詐欺行為に当たる事例であり、刑事事件に相当するものです。本来であれば、我々探偵事務所が取り扱うべき案件ではありません。この辺の周知を計っていかない限り誤解を招いた結果になるのではないでしょうか。インターネット関連のアダルトサイト等のトラブルはご自身に覚えが無い場合は明らかな「詐欺行為」ですので、最寄の警察または消費者センター等までご相談するのがベストで、探偵事務所に解決を依頼するのは間違った行為であると言えます。

しかし、消費者に誤解されるようなホームページを作成している探偵事務所も存在していることがあります。平成28年10月に行った警視庁主催の研修会の席では同様のお話がありました。いかにも消費者保護を連想させ、被害回復が可能なような文言を記載している探偵事務所のホームページがあり、それを閲覧した消費者が、「消費者センター」と誤解して契約してしまう例が多々あるとの事です。探偵事務所や興信所とのトラブル相談急増の背景には、上記の例が非常に多いという事です。また、上記事例の場合は郵送での契約が多く「通信販売」に分類され、「通信販売」で契約したものが非常に多いということです。探偵事務所と契約するときはなるべく事務所に赴いて契約されたほうが安心かと思います。

国民生活センター消費者センター等に寄せられた相談件数の推移(全国)

2016年は平成28年6月30日までの集計となっております。

年度 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
相談件数 1,658 2,010 1,734 3,199 4,293 1,148

出処 独立行政法人 国民生活センター

古い集計で申し訳ありませんが明らかに増えてきていることがわかります。平成19年6月(2007年)に施行された「探偵業の業務の適正化に関する法律」によって、探偵業を営むものは各都道府県公安委員会に営業の届出を行わないといけない規則になり、その頃は減少した筈なのですが、「探偵」というキーワードで巧みに消費者を騙すような業者が出て来ました。「詐欺被害等の損害金を取り戻せる」などと謳った業者で、実際にはお金は取り戻せないのですが、幾つかの業者を確認しています。そういう業者は毎年行われる「立入り検査」等で淘汰されるはずなのですが、現行の探偵業法では資格も要らず誰でも開業できる仕組みになっているので、相談件数が減らない理由になっているのかもしれません。お恥ずかしい話なんですが、これは私ども業界が一般消費者に向けてアピールの足らない部分であるという反省もしなければならない所です。令和2年現在、インターネットで散見される悪質な業者は淘汰されつつあります。

探偵業というのは、ある人物からの依頼で行う浮気調査や不正を行っている社員の素行調査、取引先の会社の信用調査、家出人探し、盗聴機器の設置の有無調査などが主体であって、「詐欺被害の損害金を取り戻せます!」という業者は探偵事務所ではなく、詐欺被害に遭われた場合は最寄の警察署か弁護士に相談をしに行くべきです。

他には「別れさせ屋」「復縁させます」という業者もありますが、こういった業者も苦情になるケースがあり、相談を受けたことが何回かあります。この場合は料金を前金支払った後に担当者と連絡が取れなくなった等で、実際にある程度の調査はしているようでしたが、依頼人の望み通りの結果にならなかった事は明白ですよね。「別れさせ屋」「復縁させます」といった事は探偵業でなくても出来ると思うので、そういう業者と同じにされてしまうのは我々としても迷惑なばかりです。

適切な業者を選ぶ必要も

まず、依頼人が何を目的に、どんな事を調べて欲しいのか具体的に業者と打ち合わせ、契約書等の書面を取交すことも必要です。探偵業でも特定商取引法の定めで探偵業者との契約であってもクーリングオフが可能な場合もあります。

クーリングオフとは?

冷静に考え直す時間を消費者に与え、一定期間内であれば無条件で契約を解除することができる特別な制度のことをいいます。
適切な業者。簡単には書けますが、これが一番重要なのかも知れません。やはり、業界団体に加盟している業者、ある程度の経験がある業者をお選びになるのが良いのでしょうが、探偵事務所によっては調査業務の得意、不得意があって守備範囲がある程度決まっています。当協同組合であれば、複数の業者が加盟しておりますので、組合に直接相談する事もよいのではないでしょうか。


東京調査業協同組合